成熟とは何か
あるセッションで「成熟とはどんなことを言うのでしょう。」という質問を受けました。あらためて考えてみるとなかなか難しいですよね。
成る熟す。
身体で言えば、これ以上サイズが大きくならないところまで行った時点なのでしょうか。体重は別として。
では、心の成熟ってどんなことでしょう。エレガンスを身につけた時なのか、ただ在るその佇まいだけで薫香が漂ってくる感じが成熟してるということですか?ということなのですが
確かに、それも大きな意味で成熟を表しておりますが、正確には成熟が表面に出た様子を言ってるのですね。成熟した心持ちをしている人だから表面にエレガンスや薫香が漂っているわけです。オーラともいうのかも知れません。
心の成熟とはつまり様々な経験を積んで、楽しいとか嬉しいとか寂しい、苦しい、切ない、恨めしいなど、生まれてきて感じることのできるありとあらゆる感情を体験した後、ポジティブな感情もネガティブな感情もすべて受容して愛おしいと思えるようなる、そしてそうなった上で生まれたばかりの赤ちゃんの時の心に戻ることなのですよ。
嬉しい時は笑う、悲しい時は泣く。怒りを感じたら怒る。自分の感情にただ素直に。
赤ちゃんは、身体的にも経験的にも未熟なので、周囲の人々を巻き込んでいきますが、成熟した赤ちゃんには分別という宝物が備わっているので周りを巻き込みません。
周りを巻き込まないけれど、自分の中では素直に「今」の感情を感じている。そして良い感情も負の感情も感じられる自分は生きているんだなって生を堪能する。
良い感情も負の感情もとことん味わい尽くしてください。負の感情はきついです。ただ、夜明け前が一番暗いのと同じように負の最果てまでいくと良に反転します。
負を味わい尽くしたからこそ、良を大きく感じられるのです。自分の感情をそのまま受容する。
分別のある赤ちゃんになれたとき、人生はとても楽しく明るいものになります。
そういう状態を成熟というのでしょう。